講演の前後
- tsuruta
- 2020年11月15日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年11月18日
最近、企業での講演が増えた。それも流行りの「リモート」である。
慣れてはきたが、相手の反応が今一つ分からない。講演で、今、言ったことが参加者の心に響いたのかどうか、わからない。生意気言うな、とプロの講演者から言われそうだ。毎日やっている教授連は、かわいそうだ。大阪大学や京都大学の教授のリモート授業を2、3聞いてみた。ゆっくりしゃべっているが、生徒の反応は「お構いなし」が多い。相変わらずである。それはそれで理由があっての話であり、いいのだが、客の反応よりも情報伝達の一定の進行が優先される。
大体、2時間話せと言われれば、パワーポイントの数は200枚から300枚を用意してから、徐々に削除していく。そして、120~130枚まで絞る。自分でぶつぶつと読んでいくと、ダブるものが必ず出てくる。また、削って100枚くらいに仕上げる。1時間で50枚。一分1枚のパワーポイントで進行させる。それで行くと私はゆっくりだが、先生方はその2倍から3倍スローだ。それで理解を深めるのだろう。私は中味は後でPPを見てくれ、と事例を含めた「量」をこなすスタイルだ。それが良いか分からないが、それで、通してきた。
最近一つやったが、事務局によると(いつも彼らはそう言うものだが)反応は良かったようだ。ただ、自分では全く満足できない。具体的な反省点は、ほとんどないのだが、リモートでこちらの熱意が伝わっていないように思う。また、相手の感情も見えない。そして、相手の質問の熱量が分からない。困ったものである。出来るだけリモート授業での講演はQAを混ぜて行うことにしている。無理やり参加者を当てて、感想でも何でも聞いてみることにしている。それで、やっと相手とのコミュニケーションが取れる。
それでいいのかどうか、実際のところはわからないが、仕方がない。やはり、リアルが一番だ。そして、12月にまた大学院での講義がある。リモートだが、前に少しの生徒はいてくれる。それが救いだ。反応が少しは、読める。
時間の余裕を取るべきであろう。QAで10%くらいの時間を取ろう。中盤から後半にかけて良いかもしれない。相手の理解の確認である。無理やりにではないが、ゆっくりとやってやることはいいかも知れない。そう思っている。意識的に、やっている。
講演の種類は多様だ。テーマは「不正対応」「ガバナンスと体制構築の仕方」「監査役監査について」「社外役員の作法」「IR概論」「ESG経営」「国際経営」「英国子会社の経営」などである。そのどれかを休憩を入れず2時間かけてお話をする。無論、実体験を入れての話だ。どれも経験の話が6割くらい。そして、それらを概念化して、普遍化される教訓を述べている。繰り返し言うが、良いかどうかは分からないが、需要は増えてきた。少しは役に立っているのだろうか。そうやって、自分を慰めるしかないが・・・・。
また、教科が増えて、どれが本職かわからなくなってきた。まあ、いいだろう。これまで実践でやってきたことや、その中で失敗したことを中心にお話している。それが聞き手には面白いのだろうし、実践向けでもある。皆様の参考になる体験として、腑に落としてもらえれば、それで良い。駄目なら、その後の需要はないであろう。そういうものだ。
誠実にやっていこう。そう思う、今日この頃である。歩きながら、そういうことを考えた。

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