top of page
検索

米国の友人からのメッセージ BY K.YAMADA

  • 執筆者の写真: tsuruta
    tsuruta
  • 2023年8月8日
  • 読了時間: 5分

更新日:2023年8月9日

(鶴田)随分と間が開いた。他の仕事が忙しくて、ブログがお留守になった。今日は米国の私の友人であり個人投資家である山田さんから論文のようなメッセージをもらった。日本の人的資本政策にについて、である。全般的に日本の変革に対して好意的である。面白いので、2回にわたってご紹介したい。


資本主義復活のための人的資本の活性化に向けて① BY K.YAMADA


2022年5月、岸田総理は、日本経済の活性化だけでなく、このモデルを世界にアピールするために、新しい形の資本主義を導入しました。ビジョンの背後にある個々の事実は色々あるようです。目論んだのは、彼のイニシアチブで「人的資本市場」の凍結を解除することです。岸田氏の野望は、一年前には遠いものに思えたものです。長い間の日本経済パフォーマンスの低さを考えると、新資本主義モデルの基盤をどうして彼は定着できると考えたのでしょうか?答えは、世界の他の地域よりも日本はシステマティック・リセットに対してよりオープンである可能性があるということでしょう。そして、それ故に、日本のこの変化への胎動に対し、世界は注目する価値があるということです。日本は、資本主義をより包括的で持続可能なものにするために、新しい施策などで技術活用する可能性を秘めています。そして、本当の意味で、「人的資本市場」の変革に手をつけ、それらを実現するという政治的意志を持つ唯一の国かもしれません。


岸田氏は、現在の新自由主義的な経済構想自体よりも、経済活動においてより積極的な役割を担う政府を構想しているようです。現在の資本主義では、市場メカニズムが経済を動かし、政府は「弱い審判」として従属的な役割を果たしています。彼の計画では、デジタルガーデン都市国家イニシアチブなどの外科的支出を伴う政策目標があります。しかし、より積極的な政府の主な役割は、民間部門が持続的に成長できるように、“危険”を特定し、規制などの「ガードレール」と、特定分野の減税などの「スピードランプ」を設計することでしょう。ここでいう経済の仕組みはやインフラの構築と維持は、本来は、主に民間部門の使命でしょう。政府は、それに対し「コスト」と「メリット」を認識するという視点を持っているだけの立場でした。しかし、岸田氏は利害が対立する市場参加者よりも、むしろ政府のほうが、この新しいパラダイムを確立するための「設計者」の役割と、全体を通して強力な「審判」の役割の両方を果たすと考えているようです。気候変動対応は、政府が重要な問題を特定し、差し迫ったニーズを判断し、民間部門がビジョンを実行するためのインセンティブを政治によって生み出すことができる良い一例でしょう。


岸田氏のビジョンは、資本主義は腐敗し、時代遅れであるという、どこか独裁者からの主張に対し、決定的な対案を提供することを目指しているように見えます。独裁者からの批判には反論できるでしょう。偽善的な面もありますが、いくつかの真実はあります。現在、構造化されている日本の資本主義は、国家として集合的な発展のための効果的なツールでしたが、包括的なものではありませんでした。いわゆる泥縄的なものでありました。しかし、これは資本主義固有のものではありません。これは、財務価値のみを考慮し、最も重要な決定を市場参加者に任せるという不完全な仕組みには、もとより多くの欠点を内包していました。簡単に測定できる金融価値を強調し、組織としての、結束や機会均等などの他のあまり「具体的でない利益を無視する」という傲慢さは、現在の資本主義システムの大きな欠点でしょう。社会学者のウィリアム・ブルース・キャメロンが言ったように、「数えられるものすべてが、信頼できるわけではありません。また、逆に、数得られないすべてが全く信頼できないということでもありません。」たしかにそうでしょう。「人権」や「環境保護」などの非金銭的価値に対し、効果的に対処するシステムは、権利を剥奪された人々が経済にもっと関与するよう仕向けるのに大いに役立たねばなりません。


では、世界の中で、なぜ日本はこの新しいタイプの資本主義を発展させるのに適した場所なのでしょうか。それは、強い「共同体意識」があるからです。日本人は社会的結束のために個人の困難に耐えることを厭わない。不動産破綻の間、不動産価値をはるかに超える住宅ローンの債務負担から逃れることが、個人にとっては経済的に合理的であったとしても、日本の消費者はほとんど個人破産を宣言しませんでした。代わりに、彼らは猶予を要求するのではなく、現在のままでいることを選びました。さらに、日本の政治は、米国のような行き詰まりを促進する一種の実存的な文化戦争などありません。日本のフレームワークでは、規制のとらえ方のレベルが異なっています。その結果、政府による改革は民間部門に大きな影響を与える可能性があります。


また、国内のほぼすべての人が同意できる単一の問題があります。それは、「人材不足」です。ミニマリストの言い方を借りれば、日本を魅力的にしているのは、現在持っている強みではなく、むしろ改善され得る弱みの方です。


実存的な人口動態の危機を経験した最初の先進国として、日本は何十年にもわたって労働力の減少を味わってきました。そして、世界の他の地域では、移民問題に苦しんできました。それらの国にとって移民流入停止などをどうするかは、決定的に重要な政治課題であります。ほぼ日常的に与野党で戦いを繰り広げています。しかし、日本での議論は、これらの問題について、それほど二極化していないようです。日本では、移民に対するスタンスは徐々にオープンになっています。だからといって、日本が移民改革の完璧な例だと言っているわけではありません。反動的な声はまだありますが、相対的に見ると、日本は他の地域のリベラルなデモクラシーよりも、人的資本を自国の経済に統合する方向性を見つけ出し、新しい考え方を実行出来る健全な立場に私には思えます。


つづく。


 
 
 

Comentários


記事: Blog2_Post
bottom of page